不動産とは何かを理解しよう
「不動産」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
これから不動産を学ぶにあたってもっとも基本となる言葉の意味を確認します。
日常的に何気なく使っている言葉ですが、正しい意味を理解しておきましょう。
「不動産」とは、「土地」と「建物」のこと
一般的に「不動産」と聞いて思い浮かべるものは、「土地」や「建物」だと思います。
しかし一言に土地や建物といっても、そこからイメージするものは人によって異なるかもしれません。
この言葉が何を定義しているかを調べるには、国語辞典をひくというのがもっとも手軽でしょう。しかし不動産に関する仕事をやるうえでは、法律上の定義を理解しておくことが大切です。
ためしに民法を開いてみると、不動産とは「土地及びその定着物」(86条1項)となっており、「不動産以外のものはすべて動産とする」(86条2項)とされています。
この「土地及びその定着物」とは、「土地」と「建物」を指していると考えればいいでしょう。
厳密にいうと、ほかにも「定着物」はありますが(たとえば土地に固定されている線路や銅像、植物の苗など)、細かい話になるので気にしなくても結構です。
要するに「土地」も「土地の定着物」も、動かすことができない(不動)ものなので「不動産」と呼び、それ以外の動かせるものは「動産」と呼んでいるのです。
法律の話抜きで不動産は語れません。本ブログではなるべく平易な表現で、必要最低限の法律についても説明していきます。
土地と建物の意味を知ろう
さて、不動産は土地と建物のことだとわかりましたが、では土地と建物とは何を指すのでしょうか。
「土地」は耕作地や宅地など、さまざまに利用される地面で、森林でも原野でも、田畑でも、地面はすべて「土地」です。一方の「建物」は、土地に定着する工作物のうち、屋根と柱・壁を有していて、居住、営業、工場、倉庫などの目的(用途)で利用される建築物のことです。
建築基準法や不動産登記法といった法律によって建物の定義は異なりますが、「土地に定着」「屋根」「柱・壁」の3つを備えていれば建物と考えて問題ありません。
土地の数え方
土地は「筆」(「ふで」または「ひつ」)という単位で分かれています。
1筆(「ひとふで」または「いっぴつ」)、2筆と数えます。
1筆ごとに番号が振られていて、これを「地番」と呼びます。
ただ、土地を取引するときの単位は、一般的に「区画」で数えることが多いです。
区画は、土地を分譲など何らかの基準で任意に分けたものです。1区画(「ひとくかく」または「いちくかく」)、2区画と数えます。
「1区画」の土地が、いくつかの「筆」で分かれていることもあります。
建物の数え方
建物は「棟」や「戸」という単位で数えます。1棟(いっとう)、2棟または、1戸(いっこ)、2戸と数えます。
戸建て住宅でも、高層ビルでも、賃貸アパートでも、倉庫でも、みんな同じです。
分譲マンションのように、1棟の建物のなかに複数の部屋があり、それぞれの部屋を別々の人が所有することができるものは、各部屋も1戸の建物となります。
建物も1戸ごとに番号が振られていて、これを「家屋番号」と呼びます。
登記上の単位は、土地は「筆」、建物は「個」を用います。数字は漢数字を用います。
土地と建物はそれぞれ別の不動産
ここまで見てきたように、不動産には「土地」と「建物」があります。
そしてこれらは別々の不動産です。たとえば、一般的に私たちは一軒家を「一個の不動産」だと思っていますが、正しくはそれが建っている地面も含めて「土地」と「建物」という2個の不動産です。
そのため、土地と建物が、それぞれ別の人の所有物である場合もあります。たとえば土地を借りてその上に建物を建てて住む、といったことはよくあることです。
土地を貸した人は地代として収入が得られ、建物の所有者は、建物を自分で使ったり、人に貸したりといった使用収益ができます。
参考 土地の所有権が及ぶ範囲
土地を所有して家を建てるということは、その土地の上下の範囲についても所有権がおよぶということです。
実際に民法では次のように規定されています。
「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」つまり、上下といっても無尽蔵に所有権がおよぶということではなく、法律や条例などで所有権の行使を制限されているということです。
たとえば上空については明確な規定はありませんが、他人の所有する土地上に電線を通すのは所有権の侵害になります。また民法以外の、建築基準法や都市計画法などで建築物の高さが制限されています。
まとめ
不動産は「土地」と「建物」という2つの大きな要素で成り立っており、法律的な定義や所有権の範囲など、理解しておくべき基本的な知識があります。
不動産の取引や所有を考える際には、これらの基本をしっかりと理解することが大切です。
ぜひ、これからも不動産に関する知識を深めていってください。