債権者不確知による供託
はじめに
不動産取引では、賃貸契約のトラブルや供託が発生することがあります。
特に「債権者不確知」による供託は、賃貸借関係が複雑化した場合に重要なポイントとなります。
本記事では、供託法9条の規定に基づき、無権利者が被供託者に含まれた場合の供託の効力について解説します。
事案の概要
1. 賃貸借契約と転貸借契約の成立
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X(賃貸人)とY(賃借人)は、昭和63年8月1日に2年間の賃貸借契約を締結。
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契約は更新され、Yは平成14年にZに転貸。
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ZはXからも直接賃借していた経緯がある。
2. 供託の発生
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XとYの間で賃貸借契約解除を巡るトラブルが発生。
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Zは、XとYのどちらに賃料を支払うべきか分からず、供託を実施。
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供託の対象期間は平成29年11月から平成30年12月まで。
裁判所の判断
1. 供託の有効性について
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供託法9条では、「被供託者の中に還付請求権を有する者が全く含まれていない場合」に限り供託は無効。
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今回のケースでは、Yが供託金の還付請求権を有していたため、供託は有効とされた。
2. 転貸借の終了の判断
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Xは「Yの転貸借契約は終了した」と主張。
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しかし、XはZに対して物件の返還請求をしていないため、転貸借は終了していないと判断。
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よって、Yの債務(Zに物件を使用収益させる義務)は存続している。
解説
1. 供託とは
供託とは、債権者が不明な場合や債権者が弁済を拒否した場合に、裁判所にお金を預ける制度です(民法494条)。
債権者不確知による供託のポイント
✅ 弁済者が過失なく、どの債権者に支払うべきか分からない場合に供託できる。
✅ 供託法9条により、還付請求権を持つ者が1人でも含まれていれば供託は有効。
2. 転貸借の終了とは?
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一般的に、賃貸借契約が解除された場合、転貸借も終了する。
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しかし、今回は転借人(Z)が引き続き物件を占有しており、転貸借契約は終了しないと判断された。
不動産管理における教訓
✔ 供託を行う際は、債権者が誰なのか慎重に確認することが重要。
✔ 転貸借が絡む場合、賃貸借契約の解除が転貸借の終了に直結しないこともある。
✔ 裁判例を参考にし、適切な賃貸管理を行うことが求められる。
まとめ
賃貸借契約では、債権者不確知による供託が発生する可能性があります。
供託法9条の解釈によれば、還付請求権を有する者が1人でも含まれていれば供託は有効とされます。
また、転貸借契約の終了は、賃貸人の行動によって左右されるため、慎重な対応が必要です。
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