賃貸借契約を理解するためには、関連する法律について知っておくことが重要です。
特に、借地借家法、消費者契約法、区分所有法などが賃貸借において重要な役割を果たしています。
本記事では、賃貸借に関わる主要な法律とその概要について解説します。
さまざまな法律が関わってくる
賃貸借は、賃貸人が賃借人に物を使用・収益させ、賃借人が対価として賃料を支払う契約です。
本・DVD・自動車などの動産から土地・建物といった不動産まで、賃貸借は広く利用されていますが、特に重要なのは不動産の賃貸借です。
不動産の賃貸借について規定している主な法律は民法と借地借家法です。
民法
賃貸借契約の成立、効力、当事者の義務、終了(解約など)についての基本的ルールは民法に規定されています。
民法の規定は、借地契約や借家契約に共通して適用されます。
借地借家法
民法は賃貸借契約の大枠を定めていますが、借地や借家をめぐる法律関係については借地借家法が中心的に適用されます。
特に、民法の規定だけでは借主(賃借人)が十分な保護を受けることができない場合が多いため、借地借家法で民法の原則が変更され、借主が強力に保護されています。
借地借家法は居住用や営業用を問わず、建物所有を目的とする土地の賃貸借(借地契約)や建物の賃貸借(借家契約)に適用されます。民法にも賃貸借に関する規定がありますが、借地契約や借家契約については、借地借家法が優先的に適用されます。借地借家法は借主(入居者)の保護を目的とする法律であり、例えば「正当な事由」がなければ契約更新を拒絶できないなど、借主に有利な規定が多く存在します。
消費者契約法
消費者契約法は、一般の消費者と事業者が契約を結ぶ際に、消費者に不当に不利な契約が結ばされないようにするためのルールを定めた法律です。不動産の賃貸借契約は、事業として賃貸業を営む貸主と、一般の消費者である借主との間で結ばれることが多く、このような賃貸借契約に対して消費者契約法が適用されます。
区分所有法
区分所有法は、主に分譲マンションの区分所有者を適用対象としますが、区分所有者から部屋を借り受けている賃借人にも適用される場合があります。
借家契約・借地契約に関わるおもなルール
基本的なルールを定めている法律
- 民法
- 借地借家法
トラブルを防ぐための基準を定めているルール
- 消費者契約法
- 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
- 賃貸住宅トラブル防止ガイドライン(東京ルール)
トラブルになったときに関わる法律
- 民事訴訟法
- 民事調停法
賃貸人と賃借人の義務
賃貸人と賃借人の権利義務には以下のものがあります。
- 賃貸人の使用収益させる義務と賃借人の賃料支払い義務
- 賃貸人の用法遵守義務
- 賃貸人の修繕業務
- 賃借人の無断譲渡・転貸の禁止
借地借家法と借地法、借家法との関係
現在の借地借家法は平成4年8月1日から施行されていますが、それ以前に締結された契約については、従来から施行されていた「借地法」と「借家法」が適用されます。借地借家法のことを新法、借地法や借家法のことを旧法と呼ぶこともあります。
現在の借地借家法と以前の借地法・借家法では存続期間や契約の更新方法に違いがあります。
消費者契約法による借主の保護
消費者契約法は事業者と消費者の間に結ばれる契約を保護の対象としています。
借主が一般の消費者ではなく法人や個人事業主であり、営業用の施設として建物を借り受けた場合には消費者契約法は適用されません。
消費者契約法の施行は平成13年4月1日なので、この日以降に設定・更新した契約には消費者契約法が適用されます。
弊社のホームページでは、不動産に関するさらに詳しい情報を提供しています。ぜひ以下のリンクもご覧ください。
賃貸借に関する法的知識を深めることで、より安心して賃貸契約を結ぶことができます。必要に応じて、専門家に相談することも検討してください。