土壌汚染対策費用の負担特約
視点: 購入した土地の有害物質が環境基準を超えていた!土壌改良のための費用は売主負担になる?
要点:学校校舎を建設するために購入された土地で鉛とヒ素が検出された事例において、これが瑕疵にあたるとしても、裁判所は土壌汚染対策費用の損害賠償請求を認めませんでした。
事案の概要
平成22年3月、買主Xは売主Yから中学校および高等学校の校舎建設用の土地(代金37億3000万円)を購入しました。
しかし、引き渡し後、買主Xが依頼した土壌調査で、鉛とヒ素が土壌汚染対策法で定める基準値を超えて検出されました。
契約書には「土壌改良が必要な場合、売主が費用を負担する」と記載されていましたが、裁判では、Xが主張する土壌汚染対策費用の負担について、裁判所はこれを認めませんでした。
裁判所の判断
裁判所は、鉛とヒ素の存在自体は「瑕疵」に該当するとしつつも、土壌改良が必要な場合とは「法令により義務付けられる場合」を指すと解釈しました。
本件土地は土壌汚染対策法に基づく措置を義務付けられておらず、結果として損害賠償請求は認められませんでした。
解説: 土壌汚染対策法の概要
土壌汚染対策法は、有害物質の使用が廃止された土地や、大規模な土地の形質変更時に土壌調査を義務付けます。
調査で基準を超える汚染が確認された場合、健康被害が生じるおそれがある区域は「要措置区域」として指定され、汚染除去などの措置が必要となります。
このケースでは、土壌汚染対策法に基づく措置が義務付けられなかったため、売主が費用を負担することはありませんでした。
まとめ
土地売買契約において、土壌汚染の有無やその対応は非常に重要です。
契約書に特約を設ける際には、明確な定義や条件を盛り込むことが求められます。
また、土壌汚染対策法に基づく規制の理解が、売買や損害賠償請求において大きな影響を与えることを覚えておくべきです。