賃貸仲介業者の大規模修繕の説明義務
イントロダクション
賃貸契約を締結する際、契約内容に影響を与える可能性がある重要な情報が多々あります。
その中でも「マンションの大規模修繕工事」が計画されている場合、その情報は賃借人にとって非常に重要な判断材料となります。
この記事では、マンションの一室を賃貸予定者が賃貸借契約を締結する前に、大規模修繕工事の計画について説明しなかった場合、どのような法的責任が発生するのか、具体的な事例を交えて解説します。
事案の概要
まず、ある賃貸契約に関する事案を紹介します。
平成29年12月11日、賃貸人Xと賃借人Yは、あるマンションの一室について賃貸借契約を締結しました。
契約の条件は、平成29年12月15日から平成31年12月14日までで、月額賃料は21万4000円でした。
しかし、賃貸契約締結後、賃貸人Xは同月15日にこのマンションで大規模修繕工事を発注しました。
そして、修繕工事の実施予定は平成30年1月11日から同年3月20日までとなっており、これを居住者に通知しました。
賃借人Yはその通知を受け取った後、大規模修繕工事が実施されることに異議を唱えました。
工事中の粉塵、振動、騒音などが健康に悪影響を及ぼすと考え、賃貸契約の条件変更を求めましたが、賃貸人Xはこれに応じませんでした。
結果、Yは損害賠償を求める訴訟を提起しました。
裁判所の判断
裁判所は、マンションの大規模修繕工事が、賃貸借契約を締結しようとする賃借人にとって重要な情報であると認定しました。
大規模修繕工事は通常、マンションの外壁や配管の工事などであり、工事中の騒音や振動、悪臭などは日常生活に大きな影響を与える可能性が高いです。
裁判所は、賃貸契約を結ぼうとする者にとって、この情報を知らされることが契約締結の重要な要素であると判断し、賃貸人Xに対して説明義務を怠ったとして、損害賠償を認めました。
解説
この判例から学べることは、賃貸契約を締結する際に賃貸人が負う説明義務の重要性です。
賃貸予定者にとって、物件に関する情報は契約の決定に大きな影響を与えます。
特に、大規模修繕工事などの計画がある場合、それが賃借人の生活に与える影響を考慮する必要があります。
これを知らずに契約を結んだ場合、賃貸人は不法行為責任を問われる可能性があることを理解しておくべきです。
参考判例
他にも、名古屋地判平成28年1月21日では、地下駐車場の賃貸借契約において過去に浸水被害があったことを賃貸人が説明しなかったとして、損害賠償が認められた事例があります。
このように、契約締結前に重要な事実を説明しなかった場合、賃貸人は説明義務違反として責任を問われることがあります。
まとめ
賃貸契約において賃貸人が負う説明義務は非常に重要です。
特に、マンションのような大規模な物件においては、修繕工事やその他の影響を事前に説明することが、賃借人との信頼関係を築くために必要です。
今後、賃貸契約を結ぶ際には、このような情報提供を怠らないよう注意しましょう。
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物件探しのプロが見るポイント
株式会社コムハウス:竹村 光平
不動産関連資格:
宅地建物取引士・少額短期保険募集人・ファイナンシャルプランナー3級・建築CADインストラクター・CADデザインマスター・第二種電気工事士・古物商許可証
マンション: 賃貸
メープルコープ箕面: 208
参考賃料: 8.8万円
管理費: 1,000円
間取り: 2LDK
面積: 70.37㎡
築年数: 1979年3月
総階数: 8階建
住所: 大阪府箕面市箕面5丁目13-53