相続人の1人が高額な学費を負担してもらっている場合、どうすればよいでしょうか?
相続を巡るトラブルの一つに、「学費の格差」に関する問題があります。
例えば、兄が医学部に進学し高額な学費を親に負担してもらった一方で、自分は短大のみという場合、相続時に公平性をどう考えるべきでしょうか?
本記事では、相続における特別受益の概念を解説し、学費が特別受益に該当するかどうかを具体的に見ていきます。
1. 特別受益による相続分の調整とは?
相続人の中に、被相続人(亡くなった親など)から特別に財産的な利益を受けた者がいる場合、他の相続人と公平に分配するために特別受益の持ち戻しという制度があります。
ただし、全ての贈与が特別受益になるわけではなく、民法では婚姻や生計の資本となる贈与のみが対象とされています。
そのため、学費も特別受益として扱われるかどうか、個別に判断されます。
2. 学費は特別受益に当たるのか?
(1) 高校までの学費は特別受益にならない
日本では、高等学校までの教育が一般的であり、これにかかる費用は通常、親の扶養義務の範囲内と考えられます。
そのため、高校までの学費は特別受益とは認められないのが一般的です。
(2) 大学の学費はケースバイケース
大学や専門学校の学費については、特別受益に該当する可能性があります。判断基準としては、
- 親の収入や財産状況
- 他の相続人と比べてどれほどの差があったか
- 学費の負担が親にとって「通常の扶養義務の範囲」を超えているか
などが考慮されます。
例えば、親の年収が高く、家計に余裕があった場合、学費の差は単なる「親の方針」と考えられることもあります。
一方で、親の収入に対して著しく高額な学費負担をした場合は、特別受益として相続分の計算に組み入れる可能性があります。
3. 学費に関する特別受益の裁判例
① 京都家庭裁判所(平成2年5月1日審判)
- 被相続人(親)が、相続人の1人に4年間の私立大学の学費と下宿費を負担
- 他の相続人は中学時代から家業を手伝っていた
- → 特別受益として認められた
② 京都地方裁判所(平成10年9月11日判決)
- 被相続人は開業医であり、相続人の1人が医学部へ進学
- ただし、他の相続人も高額な大学教育を受けていた
- → 特別受益には該当しないと判断
このように、学費の特別受益性は個々の状況によって異なるため、一概に判断することは難しいのです。
4. 特別受益の持戻免除とは?
相続時に、学費の差が特別受益として問題になることを避けるため、親が「持戻し免除の意思表示」をしておく方法があります。
- 遺言書に明記する(例:「長男の学費は特別受益としない」)
- 口頭でも意思を伝える(できれば録音・書面に残すのが望ましい)
- 相続人間で生前に話し合う
また、特別受益によるトラブルを避けるため、相続対策として贈与を生前に調整することも有効です。
例えば、兄の学費負担分を考慮し、他の相続人に生前贈与を行うことで、公平性を確保することができます。
5. まとめ
- 学費が特別受益になるかは、親の収入や家庭環境による
- 大学の学費は特別受益として認められる場合がある
- 特別受益とならないように、生前に遺言や話し合いで調整をすることが重要
学費の格差が原因で相続トラブルになることも少なくありません。
親が生前から対策を講じることで、円満な相続を実現できるでしょう。
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