賃貸アパートで漏水が発生した場合の修繕義務
視点:
上階の洗濯機が故障して下階で水漏れが発生した場合、賃貸人は下階の賃借人に対して責任を負うのか?
要点:
住宅の賃貸借において、天井付近からの継続的な漏水が発生しても誠実な対応を怠った場合、賃貸人は債務不履行責任を負うことがあります。
事案の概要
- 賃貸人Xと賃借人Yは、2年間の賃貸借契約を締結し、その後も更新していました。
- 本件建物の102号室では、上階202号室の賃借人Aが適切に設置していなかった洗濯機が原因で漏水が発生しました。
- これにより、賃借人Yは3年以上にわたり漏水への対応を強いられました。
- 賃借人YはXに対応を求めましたが、適切な対応がなされず、最終的に賃貸物件を退去しました。
- 裁判所は、Xが使用収益義務および修繕義務を完全に履行していないとして、Yの損害賠償請求を認めました。
判決のポイント
裁判所は以下の点を重視しました:
使用収益義務の不履行:
漏水が継続して発生し、賃借人の住居使用が制限されていた期間が3年以上に及んでいるにもかかわらず、賃貸人Xが問題解決を怠ったこと。
賃貸人の帰責事由:
賃借人Yが漏水を申告した時点で、賃貸人Xは原因が上階の使用にある可能性を認識すべき状況にありました。
しかし、問題解決への具体的な行動を怠ったため、帰責事由があると判断されました。
解説
賃貸人の義務:
賃貸人は、賃借人に貸室を使用させる義務を負っています。
この義務が履行されない場合、賃借人は損害賠償を請求する権利を有します。
修繕義務:
本件では、3年以上の間、賃貸人が修繕義務を果たさなかった点が問題視されました。
結果として、賃借人の生活環境が著しく損なわれたため、損害賠償が認められました。
賃料減額のガイドライン
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会によるガイドラインでは、設備不具合や漏水が賃料減額の対象になる可能性があります。
以下は一例です:
- 雨漏りによる利用制限: 賃料の5~50%減額(7日以上)
- 水が使えない場合: 賃料の30%減額(2日以上)
賃貸人が問題を適切に解決しない場合、賃借人は法的手段を検討することが可能です。
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築年数: 2015年5月
総階数: 3階建
住所: 大阪府箕面市西小路3丁目12-14