住居を民泊に使用したことによる賃貸借契約解除
民泊営業は転貸特約があれば問題ない?
近年、訪日外国人観光客の増加に伴い、民泊営業が活発になっています。
しかし、賃貸借契約においては、賃借人が所有者の許可なく民泊を運営することが問題となるケースが多発しています。
本記事では、転貸を認める特約がある場合でも、民泊営業が契約違反と判断された事例を紹介し、賃貸物件を扱う際の注意点を解説します。
事案の概要
本件では、賃貸人Aと賃借人Yが、Yの住居として使用する目的で賃貸借契約を締結しました。
契約には「転貸を認める」という特約が含まれていましたが、その後、YはAに無断で民泊営業を開始しました。
民泊営業により、宿泊者の騒音問題やゴミ出しルールの違反が発生し、近隣住民からの苦情が相次ぎました。
Aはこれを問題視し、Yが契約に違反しているとして契約解除を通告しました。
Yは「転貸が可能であるならば、民泊営業も認められるはず」と主張しましたが、裁判所はこれを否定しました。
裁判所の判断
裁判所は以下のような判断を下しました。
契約の趣旨: 本件契約には転貸を可能とする特約があるが、あくまで「住居としての使用」を前提としたものであり、不特定多数の宿泊者を受け入れる民泊営業はこれに反する。
使用形態の違い: 長期間同じ住人が住む「住居」と、1泊単位で利用者が入れ替わる「宿泊施設」では、使用態様が大きく異なる。
近隣トラブルの影響: 実際に民泊営業により住民からの苦情が多数寄せられ、賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊された。
信頼関係の喪失: YはAから民泊営業の中止を求められた後もすぐには対応せず、問題解決が遅れたことで信頼関係がさらに悪化した。
これらの点から、転貸特約があっても民泊営業は認められず、賃貸人による契約解除が有効と判断されました。
民泊営業に関する法律と注意点
住宅宿泊事業法(民泊法)とは?
平成30年6月に施行された「住宅宿泊事業法(民泊法)」では、都道府県知事への届出を行うことで、住宅を民泊として利用することが認められています。
ただし、
管理規約や賃貸借契約が優先される
近隣住民の平穏な生活を損なわないことが求められる
年間180日以内の営業制限がある
といった制約があるため、すべての住宅で自由に民泊営業ができるわけではありません。
賃貸物件で民泊を検討する際のポイント
契約内容の確認: 転貸特約があっても、使用目的が「住居」に限定されている場合は民泊営業が禁止される可能性が高い。
事前に賃貸人の承諾を得る: 無断で民泊営業を行うと契約解除のリスクがある。
近隣住民への配慮: 騒音やゴミ出しの問題が発生すると、契約違反とみなされることがある。
まとめ
今回の事例から、賃貸借契約において転貸が認められていたとしても、必ずしも民泊営業が可能とは限らないことがわかります。
特に、使用目的が「住居」とされている場合、賃貸人の許可なしに民泊を行うことは契約違反となる可能性が高く、最悪の場合、契約解除につながることもあります。
賃貸物件を民泊に利用する際は、契約内容を十分に確認し、必要な許可を得た上で、適切な運営を心がけましょう。
リンク
物件探しのプロが見るポイント
株式会社コムハウス:竹村 光平
不動産関連資格:
宅地建物取引士・少額短期保険募集人・ファイナンシャルプランナー3級・建築CADインストラクター・CADデザインマスター・第二種電気工事士・古物商許可証
マンション:賃貸
フェザント小野原 :107
参考賃料: 12.6万円
管理費: 6,000円
間取り: 2LDK
面積: 67.68㎡
築年数: 2013年9月
総階数: 2階建
住所: 大阪府箕面市小野原西5丁目9-7