借地権売買における売主の担保責任
視点
借地権の売主は、土地に欠陥があっても責任を負わない?
事案の概要
- 契約締結と目的
- 平成28年12月21日、買主Xと売主Yは、代金6000万円で借地権の売買契約を締結。
- Xの目的は、借地権の設定された土地にトランクルームを建設すること。土地の所有者も売買を承認。
- 契約書の内容と交渉経緯
- 契約書には、「引渡後3か月以内の土地の瑕疵について、売主が責任を負う」との条項を追加。
- 当初はYが瑕疵担保責任を免除する案を提示したが、Xが修正を求め、責任を負う条項が採用された。
- 問題の発生と障害物の撤去
- 引渡し後の試掘で、地中からレンガ、瓦、木杭、コンクリート片などが広範囲に埋まっていることが判明。
- Xは59万4000円を費やして障害物を撤去し、Yにその費用の負担を求めたが、Yは支払いを拒否。
裁判所の判断
裁判所は、XとY間で土地の瑕疵についての担保責任を負う合意が成立していると認定し、Xの請求を認容。Yの「土地の瑕疵は賃貸人に責任がある」との主張は退けられた。
解説
- 賃借人の地位の移転と法律関係
- 賃借権は、賃貸人の承諾があれば譲渡可能(民法612条1項)。譲渡後は譲受人が賃借人の地位を継承し、賃貸人と新たな契約関係に入る。
- 地主には、土地に瑕疵があれば修補義務(民法606条1項)がある。
- 借地権の譲渡における目的物の欠陥
- 通常、土地に瑕疵があっても借地権自体の欠陥とはみなされない。しかし、本件では、契約書で土地の瑕疵について担保責任を負うと明記されていたため、売主Yは責任を逃れられなかった。