売買契約の解除に伴う違約金の減額
概要
本記事では、投資用マンションの売買契約において、買主が債務不履行により発生した違約金が裁判により減額されたケースについて解説します。
このケースでは、契約違反の罰則として契約上20%と定められていた違約金が、信義則に基づき、売買代金の10%相当額に制限されました。
本件を通じて、信義則による違約金の減額が認められる背景や条件について考察します。
事案の概要
契約の締結
売主Yと買主Xは、平成28年9月4日にCマンション一室の売買契約を締結。契約には違約金を売買代金の20%(436万円)と定め、Xが銀行から融資を受ける条件も記載されていました。買主の背景と状況
Xは投資用物件の経験を持つ個人で、売主Yから頻繁に購入を促され、社員寮の玄関において短時間で契約が締結されました。契約書の写しも交付されておらず、手付金や手付解除の取決めも不明瞭でした。契約解除に至る経緯
買主Xは、融資に必要な書類の準備を怠ったため、売主Yは契約違反による解除を通知し、違約金の支払いを求めました。
裁判所の判断
裁判所は、売主の営業手法が買主Xの慎重な検討の機会を欠いたものであり、違約金額が実際の損害に対して過大であると認めました。
そのため、Yが請求できる違約金額は信義則上、売買代金の1割(218万円)に制限されました。
解説
損害賠償額の予定
契約で定めた損害賠償額(違約金)は、信義則に反しない範囲で請求が可能ですが、著しく不当と判断される場合には裁判所が減額を認めることがあります。平成29年民法改正の影響
民法改正により、裁判所は必要に応じて違約金の額を減額できるようになり、今回のケースでもこの改正が影響しました。
参考判例
新築マンション売買契約において、買主の債務不履行により契約が解除された際、違約金が信義則で減額された事例が参考として挙げられます。